入社2年目のオペレーターR君は、頑張りが認められて新しい業務を任されたものの、スランプに陥っていました。なかなか自分で判断できず、先輩に質問してばかりでミスも増加していました。
そんな状況を見かねたSVさんの要請を受け、ぼくが面談を行うことになりました。今回は、先輩オペレーター2名にも同席してもらい、「未来の自分に成り切るイメージワーク」を行いました。
まずはリラックス
会議室に入ってきたR君の表情はやや暗い感じでした。ぼくは世間話や冗談を交えて、和やかな雰囲気を作りました。
さらに目を閉じて深呼吸を促し、R君の心身をリラックスさせます。そして、現在の状況や心境を語ってもらいました。
相槌を打ちながら話を引き出していくと、R君も次第に熱が入ってきましたが、なかなか問題をうまく言語化できない様子でした。
成長した自分をイメージする
ここで「入社以来、成長していると思う?」と尋ねると、R君は「入社当初より成長したと思います」との答え。さらに具体的な成長点を挙げてもらうと、自身の成長を実感できたようです。
続けて「何年後だったら一人前になれていると思う?」と聞くと、「3年後位でしょうか」と返ってきました。そこで「可愛い後輩が出来て、指導役を務めているかもしれないね」と投げかけると、R君は少し照れくさそうに笑います。「そうなんですかねぇ」と満更でもない感じでした。
さらに「R先輩すてき!なんて子も出てくるんじゃない?」「告白されちゃったりして?」と煽ってみると、「そんなことないですよー」とか何とか言いながら、マスク越しにも分かるほどニタニタしています。R君はすでに「変性意識状態」に入っています。
暗示で成長した自分に成り切る
「まじで告白されちゃったら、どう応えるの?」とぼくが聞くと、「えー告白ですかぁ?」とか言いながら、意識が内側に向かい、R君はさらに深く変性意識状態に入っていきます。
その瞬間、ぼくは机をバンと叩き、「はい、あなたは3年後のR先輩です!」と大声で宣言。全員がびくっと驚いてぼくを見ます。
「R先輩、ぼくらは全員3年後のあなたの後輩です。昔のR先輩と同じようにスランプ気味なので、どうしたら良いかアドバイスをお願いします」と続けます。
「3年後の成長した自分になりきって!さぁ!」と強く促します。するとR君の表情が一変し、まるで未来の自分に取り憑かれたかのように、堂々と語り出しました。
未来の自分に語らせる
「経験の浅い内はマルチタスクを避け、一つずつこなすこと。自ら問いを立て、答えを出し、自分の判断に自信を持つこと。万一壁に当たったら、僕に相談して。」
先輩たちは呆気にとられています。
ここでぼくは、「自分の問題点がうまく言語化できないのですが、どうしたら良いですか?」と質問をぶつけてみました。すると、R君は自信たっぷりに答えました。
「全体をいっぺんに解決しようとしても無理なんだ。だから工程や項目毎に分解して、一つずつ解決すると良いよ。」
R君の豹変ぶりに先輩たちは明らかに引いていました。先輩の一人が「この人誰?」と呟いたので、ぼくは吹き出しそうになりました。
未来の自分に成り切ることの効果
このイメージワークで、R君は未来の自分に一時的に”なり切る”ことができたのです。そして未来の自分からのアドバイスを得たのだと。先輩達二人にはそのように説明しました。
そしてR君は、徐々に現在の自分に戻りつつも、未来の自分からの自信に満ちたアドバイスが心に残っている様子でした。それを見ながら、先輩の一人が「なるほど、そういう訓練なんですね」と納得した様子で頷きました。
具体的な行動に落とし込む
「じゃあR君、未来の自分からのアドバイスを得た今、具体的にどのように行動していこうか?」と問いかけました。
R君は短い沈黙の後、「まずは業務を一つずつ着実にこなし、分からないことは恐れずに質問する。そして自分なりの考えを常に持ち、判断の理由をしっかり説明できるようにします」と力強く答えました。
「カッコいい!」「モテちゃうね!」とA先輩。「可愛い後輩に告られたらどうすんだっけ?」と茶化すと、R君また「えー」とか言ってニタニタ。そこでO先輩が机をバン!とやったので一同大爆笑。
最後に、「今後も壁にぶつかったら、今日のことを思い出して、何年後かの成長した自分になりきって考えてみると良いよ」とアドバイスしました。R君は「分かりました」と先刻よりはるかに明るい表情で部屋を後にしました。
まとめ
成長した未来の自分や、既に問題を乗り越えた自分になり切って、そこから解決策を得る。このイメージワークは、自己成長と問題解決に非常に効果的です。
未来から現在を振り返る視点を持つことで、問題の本質が見え、希望と自信を持つことができます。
この強力なイメージワークで、あなたも現状を打開しましょう。ぜひ一度試してみてくださいね。
ではまた!おやすみなさい💤