一般的に、生まれ変わりを説く宗教と言えば、仏教が有名ですよね。しかし、意外なことに、黎明期のキリスト教にも生まれ変わりの教義は存在しました。
今回は、初期キリスト教における生まれ変わりの教義について見てみましょう。
大神学者オリゲネスの「転生説」
オリゲネスは3世紀に活躍した古代キリスト教の大神学者で、前世からの「生まれ変わり」を説いていました。
彼は、魂は肉体に先立って存在し、堕落した結果として肉体に宿ったと考えていました。そして、完全に浄化されるまで、生まれ変わりを繰り返すのだと。
つまり、生まれ変わりは魂の浄化の過程であり、最終的には全ての魂が神に復帰すると考えていたんです。
しかし、この転生説は聖書の創造論と矛盾するとして、後の教会から激しく批判されました。オリゲネスは、古代キリスト教でもんのすごく重要な思想家でしたが、転生説は正統派から異端視されたんですね。
カタリ派とは?
「カタリ」は「純潔」を意味します。中世フランスで発展したカタリ派は、その名のとおり、物質的な欲望を避け、禁欲的な生活を送る宗派でした。
カタリ派では、この物質的な世界は、悪しき力によって創られたと考えていました。純潔で禁欲的な生活を重視し、物質世界からの解放と、精神的な救いを目指していました。
カタリ派は、当時の正統教会を「堕落している」と猛烈に批判しました。その結果、「カッタリーこと語ってんじゃねーぞこのカタリ野郎」と激しい弾圧を受け、無くなってしまったのでした。
生まれ変わりの否定
こうした生まれ変わりの教えは、553年のコンスタンティノープル公会議で、正統教義から外れた異端として公式にはっきり否定されました。
正統教義では、一度の人生で救済されることを重視していました。生まれ変わりの教えは、その基本的な教義に反していました。
それに、生まれ変わりの概念は、教会の教えに従わなくても救われる可能性を示唆するため、教会の統制力を弱める恐れがありました。
そのため、教会は生まれ変わりの教えを否定し、統制を強化しようとした、とも言われています。
まとめ
このように、かつてはキリスト教にも、生まれ変わりを通じた魂の成長と救いを信じる人々がいたんですね。異端ですけどね。
そんな彼らの教えには、現代の私たちが物質的な欲望から離れ、心の平穏を見つける上でのヒントが含まれているように思います。
ではまた。